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聞こえない世界で/5止

2018.02.09 12:56|制度
以下、毎日新聞 より引用

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◆取材後記 手話通訳介し4回6時間半 双方向性あっての共生

「聞こえない人が地元で普通にあいさつして、誰かとつながる」。
県聴覚障害者協会の嘉田眞典さん(53)=三田市ゆりのき台=が目指すそんな社会を実現するためには、
聞こえる人の理解と協力が不可欠だ。
嘉田さんを含め、昨年から聴覚障害のある人への取材を続けてきて、その思いを強めている。

昨年12月、県内のろう者の男性に取材を試みた。ファクスで取材依頼を送ったが、反応が無い。
男性宅を訪れ、簡単な筆談や手ぶり身ぶりで会話すると、男性は「文章は読めるけど、書くのは苦手」。
だからファクスは返せなかった。聴覚障害者の中には、日本語は第2言語という人もいる。
手話を母語とする人が、誰でも日本語に通じているわけではないと知った。自分の先入観に気付かされた瞬間だった。

嘉田さんへの取材を始めたのも、同じ頃からだ。
12月下旬から計4回の取材を重ねて、取材時間は計約6時間半に及んだ。
記者は手話ができないため、協会の方の手話通訳を介しての取材だった。

「小学校の頃、朝はどうやって起きていたんですか」と質問した時、嘉田さんは
「朝食のみそ汁の匂いとか、家族に起こされた」。
逆に、「聞こえる人は、(食材を切る)包丁の音で起きるんでしょう?」と尋ねてきた。
包丁の音では小さくて起きられないと、その場は笑いが起きたが、印象的な話だった。

聞こえない世界がどんなものかと、想像しながら取材を重ねてきた。
逆に、嘉田さんも聞こえる世界を想像することがある。
「ドアの開け閉めの音がうるさいと言われたことがあって、音のマナーがあると知った。
 聞こえる人と交流して気付かされることがあるんです」。交流して初めて気付かされることがある。
それは、まさに記者が取材を通して「聞こえない世界」に対して感じてきたことでもあった。

補聴器を付けたり手話で話したりする聴覚障害者を、電車の中や街中で何度も見かけてきた。
だから同じ社会で共に生きているのだと思っていた。交流したことは、取材を始めるまで一度も無かったのに。

聴覚障害者の多くは、音声言語の日本語を土台に成り立つこの社会に、適応するように生きている。
他方、聞こえる人は、聞こえない世界をどれだけ、より正確に想像できているだろうか。
聞こえない世界と聞こえる世界を想像し合い、お互いに知ろうとすること。
その双方向性があってこそ、私たちは共に生きていける。
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