梅田の「うめ」どう表現? 鉄道社員ら手話でお助け

2016.04.26 11:32|情報
以下、朝日新聞DIGITAL より引用

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多くの人が使う鉄道。そのなかには、聴覚に障害がある人もいる。
耳の不自由さは外見からは分かりづらい。どんな時に困っているの? 手を差しのべるタイミングは?
少しでも相手のことを理解できればとの思いを込めた取り組みが広がっている。

◇運転士ら、動画で駅名紹介

 「えきのうめだのうめ、しゅわで あらわすほうほう おしえてほしい」
 ぎこちない手話で横川隆吏さん(40)が尋ねると、
 東伸二さん(66)が酸っぱい物を食べた時の表情をしながら手話で返した。
 「おべんとうのうめ(梅)といっしょ」

横川さんは大阪市営地下鉄の運転士、東さんは幼い頃から聞こえない。
御堂筋線8駅の名前を手話の寸劇で紹介する動画「大阪地下鉄の手話」を演じる。
「うめだの~」のやり取りは、そのワンシーンだ。
動画は横川さんら運転士と駅員計4人の「チームもぐら」が手がけ、昨年1月からインターネットで流す。

地下鉄で通学する聴覚障害児の父親と出会い、チームを結成。
聴覚支援学校で電車のマナー教室を開いたり、絵や文字を指して意思疎通ができるボードなどを
駅の見えやすいところに置くよう職場で働きかけたりしてきた。
運転士の田里義宣さん(41)は「みんなが安心できて親しめる鉄道にしたい」と話す。

生まれつき耳が聞こえづらい古谷純一さん(14)=大阪府立中央聴覚支援学校中学部3年=も動画に出演した。
古谷さんはインターネットで新しい路線や車種を調べ、気づくと数時間が過ぎているという「鉄道好き」。
月1回、電車の仕組みや運転の苦労を田里さんらに教えてもらっている。

古谷さんの今の夢は電車の運転士。
一定の条件を満たした聴覚障害者がバスやタクシーを運転できるようにする道路交通法施行規則の
改正案が昨秋にまとめられたと知り、うれしかったという。
先月27日には、「壁を打ち破る!」をテーマにした大阪市内での発表会に同じ聴覚障害の子どもたちと参加し、
鉄道会社のバリアフリー対策を提案した。「チームもぐら」もこれまでの活動を発表した。

「無線連絡は難しいかもしれないけど、運転はできると思う」と古谷さん。
母(51)も「現役の運転士さんと交流し、刺激を受けています」と見守っている。

◇「社員研修の一つになれば」

手話を通じた取り組みは大阪市営地下鉄だけではない。
阪神電鉄では2009年、有志の社員が「手話コミュニケーション部」を立ち上げた。
人事、運輸、経理……。さまざまな部署から30人余りが集まり、昼休みなどに活動する。

講師を務めるのは、高校生のときに耳が聞こえづらくなったという人事部の渡部安世さん(36)。
職場では、電話の着信ランプがつくと手を挙げて同僚にとってもらったり、
目で見るだけで多くを理解できる資料をパソコンで作って同僚に配ったり……。
こうした経験を踏まえ、日常で使える手話を教えるほか、
既存の教本には載っていない鉄道用語の表現方法を部員と一緒に考えている。

千船駅(大阪市)に聴覚障害者と駅員がコミュニケーションをとれるモニター付き端末が試験導入された際も、
渡部さんは改良点を指摘した。
「事業への参画は障害者の自信につながります。聞こえない人を想定した鉄道のサービスを提案していきたい」

南海電鉄は難波駅構内の一室で月2回、08年につくられた手話クラブ「シュワッチ」を開く。
参加者は毎回20人ほど。その中には、ライバル社の鉄道会社員の姿も。
人事部の内藤あづささん(41)は
「耳が聞こえない人の困りごとや解決策をそれぞれの現場で伝えられたら」と力を込める。

シュワッチは昨年12月、聴覚障害者に必要な情報を分かりやすく伝えられるように
「●●で事故がありました」「電車が■分遅れています」などと書いた「例文ボード」を作成。
今は全ての駅に配られている。

06年のバリアフリー法施行を受け、乗車券の販売所や案内所に筆談用具が置かれるようになった一方、
手話ができる駅員はまだ少ない。
聴覚障害者の自立を支援するNPO「デフサポートおおさか」の副理事長・稲葉通太さん(56)は
「書けば伝わると思われがちですが、主に手話を使っている聴覚障害者の中には長文に不慣れな人もいます。
企業で手話が社員研修の一つになればうれしいですね」と期待している。

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〈手話〉 障害者権利条約や障害者基本法で「言語」として明示されているが、施策を規定した法律はない。
全ての地方議会で国に「手話言語法」の制定を求める意見書が採択され、
4日時点で6県と41市町で手話施策の推進をめざす条例が成立している(全日本ろうあ連盟まとめ)。
3月10日時点で厚生労働相が公認する手話通訳士は3,402人(聴力障害者情報文化センターまとめ)。
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