聴覚障害者の知られざる苦労、抗がん剤治療を拒否された理由②

2018.05.23 10:06|情報
以下、DIAMOND online より引用

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◇ろう者の中には日本語の読み書きが難しい人もいる

病院の受付には、耳が不自由な人のために、筆談の準備はされている。とはいえ、筆談の場合、長文のやりとりは難しい。
また、あまり知られていないことだが、ろう者の中には、日本語での読み書きが困難な人もいる。
手話と日本語は「まったく別の言語」と言われるほど、文法や語彙が異なる。

これまで、ろう学校の教育では手話が禁止され、話し手の唇の動きを見て、言葉を読み取る練習をしてきた。
「口話(こうわ)教育」という。

手話で教育を受けた場合、「社会に出たとき困るから」と考えられてきた。
だが、口話教育では日本語の習得に限界があることが歴史的に明らかになり、
今、ろう学校で手話による教育ができるよう、全国的な推進運動が展開されている。

前出の皆川さんも、乳がんの治療を10年間受ける中、
病院のスタッフとのコミュニケーションに違和感や悩みを抱えてきた。

皆川さんは病院へ行くとき、事前に地域の手話通訳派遣を予約し、同行してもらう。
がんの治療のため「チーム」も結成してもらった。
それでも、緊急のときは手話通訳派遣が間に合わず、
診察室で医師や看護師とのコミュニケーションにとても苦労したそうだ。

例えば、こんな出来事があった。

乳がんの手術後、皆川さんは症状がひどくなり、主治医から「明日、病院へ来てください」と言われたことがあった。
手話通訳の依頼が間に合わず、1人で病院へ行った。

病院では、看護師の話を口の動きで読み取ろうと「耳が聞こえないので、マスクを外して話してもらえますか」と
頼んだが、看護師にはその理由がわからなかったため、対応してもらえなかった。

また、カーテンで仕切られた部屋で待っていたら、急に看護師がカーテンを開けて現れ
(耳の聞こえない人にとっては、「突然の出来事」になる)、いきなり腕の太さを計測した後
「リンパ浮腫です。マッサージを受けに行ってください」と書かれた紙を渡された。
さらに、看護師がすぐ部屋から出て行ってしまったため、
「聞きたいことがあったのですが質問できず、不安なまま、家に帰りました」と振り返る。

皆川さんは「英語だけしか使えない病院へ行ったようなものです」と言う。

◇手話でやりとりできないから病院へ行くことを我慢する

テレビ電話による手話サービスを提供する民間の会社は、現在、国内に少なくとも3社ある。
その1つで、シュアール代表取締役の大木洵人(じゅんと)さん(手話通訳士)が起業したのは、
大学時代、ろうの友人が「病院に行くのが大変なんだ」と話していたことがきっかけだった。
病院へ行くためには手話通訳士の同行が必要なので、
友人は「体調が悪くなっても、できるだけ我慢してやり過ごす」と言った。

大木さんは「筆談やジェスチャーで用事が済めばいいということではなく、ろう者が知りたい情報を入手でき、
不安がなくなったときに初めて『情報が保障された』と言える」と気づき、
テレビ電話による遠隔手話サービスの会社を立ち上げた。

全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会の小椋武夫委員長はこう言う。

「当連盟では、病院で診察時、医師から病気や治療の話を聞く、あるいは、精密検査を受ける等、
複雑なやりとりをする場合、基本的には病院における手話通訳の配置や手話通訳士の派遣を要請しています。
その場でお互いの表情を見ながらやりとりできるほうが安心だからですね。
一方、病院の予約、簡単な検査、薬の説明等の場合は、テレビ電話を使った手話通訳サービスを利用すると便利でしょう」

つまり、「手話が第一言語」のろう者には、日常生活において手話通訳士の配置や派遣、あるいは、
テレビ電話を使った手話通訳サービスが必要になる。
そして、状況によって当事者がどちらでも選べる環境をつくることが急務である。
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