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「サイレントK」の14年 聞こえないプロ投手が引退

2018.09.24 16:23|情報
以下、朝日新聞DIGITAL より引用

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プロ野球・日本ハムの石井裕也投手(37)が22日、現役引退を表明した。
両耳に障害を抱えながら、中日、横浜(現・DeNA)、日本ハムと14年間、投げ抜いた。
通算成績は329試合、19勝19敗、6セーブ、82ホールド。

2004年のドラフト会議。当時、中日ドラゴンズの担当だった私は、指名された選手の顔ぶれを見て、少し不安だった。
6巡目、石井裕也、三菱重工横浜クラブ。生まれつき、耳が不自由、とは知っていた。
球場の歓声が、アマチュア時代とは比べものにならないプロだ。意思表示にも、連係にも声が何より重要になる。
果たして、やっていけるのか。

左耳は音を感じない。右耳は、高性能の補聴器でやっと聞こえる程度。しかし、マウンドではあえてスイッチを切っていた。
「いろんな音を拾ってしまって、かえって集中できないんです。だから、試合のときは切っています」。
静寂のなか、18・44メートル先の打者と対峙(たいじ)し、左腕から繰り出す力強いボールで三振を奪う。
「サイレントK(Kは、野球のスコア表記で三振を表す記号)」と呼ばれたゆえんだ。

耳が聞こえないぶん、情報を得るのは目でカバーした。連係プレーでは、相手の目と、指先の動きを見逃さなかった。
取材のときも、食い入るようなまなざしで、私の顔を凝視していた。
きっと、口の動きを見て、補聴器に頼らず、一言一句、逃すまいとしていたのだろう。
こちらも正確に伝えようと、ゆっくり話す。
石井裕の取材は他の選手より時間がかかったが、その分、思いが通じ合った気がした。

2016年、北海道日本ハムファイターズの担当になって石井裕と再会した。そのシーズンに、通算300試合登板を果たした。
「高校時代から注目していたけど、ハンディがあるので、高いレベルで見極めようとしたんだよ。
 300試合なんて、私たちもうれしい限り」。
電話の向こうで弾む、中日・中田宗男スカウト部長の言葉が記憶に残っている。
石井君、お疲れさま。君の瞳を、忘れない。
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